第4次韓流ブームを牽引! イ・ジョンソク「30代の今、演じることに幸せを感じています」 | ananweb – マガジンハウス

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Instagramのフォロワー数は、2500万人超え。コロナ禍以降、世界中で巻き起こる第4次韓流ブームを牽引する俳優イ・ジョンソクさんがananに初登場。来日時の多忙な合間を縫って、貴重なインタビューが実現しました。俳優として、一人の男として。今の気持ちとこれからのことをじっくり伺いました。

「実は僕、恥ずかしがり屋なんです」と語り出したイ・ジョンソクさん。撮影ではカメラを前に惜しみなく様々な表情を見せてくれていたけれど、インタビューが始まった途端、少しはにかんだ表情のまま、そっと目を伏せた。

「俳優という職業柄、慣れなきゃとは思うんですけど、どうしてもダメなんですよ。なにかの役を演じていない、一個人としての僕を見せることが猛烈に恥ずかしくて。MBTI(韓国で大流行している性格診断テスト)の結果も、コロコロ変わるんですが、Iの内向型であることはたしかですね。それにあらかじめ計画を練るのもあまり得意ではなくて。状況に応じて行動するタイプだと思います」

韓国では『君の声が聞こえる』をはじめとした恋愛ドラマで“年下男子”ブームを巻き起こした。特に、20代最後の年に出演したドラマ『ロマンスは別冊付録』では天才作家にして出版社の編集長、大学教授の超ハイスペ男子チャ・ウノを演じて話題に。長年ひそかに焦がれる年上の女性ダニとの恋愛模様は、高い人気を博した。

「チャ・ウノという人物は、僕も見習いたいと思うような人間的な魅力がたくさんあります。まず彼は仕事に対してだけじゃなく、いろんなことに厳しい人なんですよ。でも好きな人への気持ちはまっすぐで、そういう面で僕自身も彼から得るものがあったと思います」

逆に演じていて一番苦労したのが最新作の『ビッグマウス』だったそう。とある事件の濡れ衣を着せられ、弁護士から一転、刑務所での生活を余儀なくされるというストーリーは、彼が出演してきた数多くのドラマの中でももっとも過酷なもの。妻に見せる甘い表情とは裏腹に、次第にただならぬオーラをまとう変化を見せ、2022年「MBC演技大賞」を受賞するなど高い評価を得た。

「この『ビッグマウス』は、僕としては冒険的な作品でした。30代になって、20代の頃には出演したことがない作品、演じたことがない役に挑戦して、自分の演技の幅を広げたいという気持ちから出演を決めました。でもパク・チャンホという男を演じるのは本当に難しかったです。『あなたが眠っている間に』のオ・チュンファンさんが監督を務めるというのも出演を決めたきっかけに。監督だったら僕をうまく使ってくださるだろうという信頼がありましたから」

30代にして未知のジャンルに挑戦し、体当たりで挑んだ作品で評価もされたが、演じることの難しさは今なお強く感じているそう。

「むしろ年を取れば取るほど、演じることが難しくなっていきました。僕よりはるかに長く俳優を続けている先輩方のインタビューを読んでみても、みなさん同じようなことをおっしゃっていますね。20代の頃、僕は自分の出演作を観るのが好きだったんです。自分が頑張って出来上がった作品を観るのは、この上ない達成感を感じました。でも次第に、演じることってなんて難しいんだろうと感じるようになって…。もともと好きだったドラマを観ることも、一時は仕事の一環のように感じられてしまって、今振り返るとあの頃が一番、俳優としての自分に葛藤していました。でもドラマってただ演じるだけじゃなく、スタッフや共演者と共に一つの作品を作り上げていくという喜びがあるんですよね。そのことに気づいてからはまた演じることが楽しくなりました。演じることがただただ楽しかった20代前半、その難しさを知って悩んだ20代後半を経て、今はまた演じることに幸せを感じている、そんな境地にたどり着きました」

昨年末、日本で開催されたファンミーティングには『ビッグマウス』で共演したヤン・ギョンウォンさんとオ・ウィシクさんがゲスト出演。仲良しぶりが話題になったが、ジョンソクさんにとって二人とは何でも話せる仲だそう。

「人として、俳優としてどう生きるべきかとか、深いところまで語り合えるのがこの二人。長く生きるほど人生は難しく感じられるものですが、僕も30代の大人として、今後の人生をどう生きるべきか、真剣に考えるようになりました。特にオ・ウィシクさんは同世代の俳優として一目置いているところがあります。先日、彼の舞台を観に行ったのですが、本当によかったんですよ。今もドラマを2本並行して撮影しているのですが、違うタイプの役柄にもかかわらず、素晴らしい演技をしています」

共演者とは撮影が終わった後も連絡を取り合い、出演作が公開されるたびに劇場に足を運んで感想を送るそうで、そんなところからも彼が広く愛される理由が窺い知れる。そんなジョンソクさんの次回作は、「まだ考え中」とのこと。

「『ビッグマウス』に出演するまでは、いろんなジャンルの作品に出て自分の演技の幅を広げなくては、という思いにとらわれすぎていたのですが、今では逆に、面白い作品だったらジャンルなんて関係ないと思えるように。20代の頃は“唯一無二の俳優”になることが夢だと言っていましたが、今は“心の余裕が感じられる俳優”として記憶に残りたいです。どんな作品に出合えるのか、僕も楽しみにしています。日本のみなさんも楽しみに待っていてください」

Lee Jong Suk イ・ジョンソク 1989年9月14日生まれ、韓国出身。2009年に俳優デビュー。ドラマ『W‐君と僕の世界‐』『あなたが眠っている間に』『ロマンスは別冊付録』など、人気ドラマに数多く出演。最新ドラマ『ビッグマウス』では得意のロマンスを封印し、ハードボイルドノワールに挑戦。新境地を開拓し話題に。

※『anan』2023年2月15日号より。写真・神戸健太郎 スタイリスト・PARK TAE IL ヘア・MOON HYUN CHEOL メイク・KIM GANG MI 取材、文・尹 秀姫 撮影協力・EASE FRAU INTERNATIONAL

(by anan編集部)

https://ananweb.jp/news/466347/