DIYと古いもので愛着のある空間に。写真家、アミタマリさんの台所。 | & Premium (アンド プレミアム)

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いい台所とはなんでしょうか? 使い勝手はもちろん、収納のアイデアや片付けのしやすさ、空間としての心地よさ……など、その基準はきっとさまざまです。暮らしを大切にする人たちの、台所の実例集を集めた2022年10月発売の特集より、写真家のアミタマリさんのキッチンをご紹介します。

PRACTICAL KICHENLIKE A ROOM

NAME

 Mari Amita  

OCCUPATION

 Photographer  

独立した7畳ほどもあるアミタマリさんの台所。料理好きゆえに道具の量も多いが、収納棚や調味料置き場を造作し、整理整頓が行き届いた空間を叶えた。

 

DIYで「好き」を積み上げていくことの面白さ。

 

そこにいるだけで、自然と緊張が解けてリラックスできる場所がある。写真家のアミタマリさんにとっては、それが台所だという。一日のうちにここで過ごすことが多く、料理をするのはもちろん、コーヒーを飲んだり、友人と飲みながらお喋りをしたりすることもある。

「この家は『古家付きの土地』で売られていたんです。日系アメリカ人の方が建てたものだと聞きました。家自体は取り壊す前提で何もメンテナンスがされていない状況でしたが、私はこの家に惚れ込んだし、台所も使いやすそうに思い、DIYでコツコツと空間を作りました。最近もタイルや床、壁にペンキを塗り、色をガラリと変えてみました。いくつか色を混ぜ合わせて好みの色を作って。 色を変えるだけで空間が生まれ変わったように感じます。つい先日は、 天井が雨漏りし、張り替え工事を余 儀なくされてしまい……。蛍光灯を 外し、古道具屋で購入したお気に入りのランプシェードとLEDスポットライトを取り付けました。北向きで暗いので、照明が大事なんです」

ニスが塗られた重厚感のある吊り戸棚と収納棚、玄関のドアに取り付けられているドアノッカーのような引き出しプル。それらに合わせてレンガ色に塗られたレンジフード。レトロなデザインのガス台とオーブン。 どれも現代の新しい資材で作られたものには到底出せない、深い味わいがある。加えて、空間のアクセントになっているのが、飾られた雑貨やオブジェ。壁に視線を転じると、ワイン木箱を壁付け収納にしたDIYのアイデアが光る。

「木製のものは高い位置に設置してもそれほど危険じゃないので挑戦し てみました。すぐそばには、古道具屋で購入したコーヒーテーブルを置き、パンケーキの形をしたオブジェを飾って。自分の好きなものを台所に置くアイデアは、あるとき、オブジェとして気に入っていた鐘を試しに置いてみたのがきっかけ。実用的なもの以外を置くと、空間が賑やかになって楽しくなることがわかったんです。そうやって自分の好きなものが溢れていくことで台所への愛着が蓄積していく喜びがあります」

 

収納棚の角には、回転式の収納スペースも。「スパイスや調味料がたくさんあるので、ギュッとまとめて収納しました」
壁に木製の収納を取り付けて。「漫画『ピーナッツ』に登場するスヌーピーの名言が印刷されたものを飾って楽しく」
網に木枠を取り付けてDIYを。よく使うキッチンツールを吊るし、その上には鍋やせいろなどを置いた。
仕切り扉を外したため、独立型の台所ではあるが、ダイニングの様子も垣間見え る。ときどき、愛犬のクロスとじゃれあって、一緒に寛ぐことも。DIYと古いもので愛着のある空間に。写真家、アミタマリさんの台所。
ガス台とオーブンレンジが組み込まれたL字型台所。空いたスペースには壁付けの収納棚を作り、ものを取り出しやすくした。

  PROFILE

アミタマリ 写真家

モデルを経て写真家・野村浩司に師事、2001年に独立。雑誌、広告を中心に活躍。アーティストのCDジャケットやポートレートも手がける。

 

photo : Taro Hirano edit & text : Seika Yajima

掲載号はこちら

https://andpremium.jp/article/practical-kichen-01/