新宿ルミネ2の新顔「カエン」 “メード・イン・九州”のドレスにかける思い

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 新宿ルミネ2の2階の新規ブランド「カエン(KAENE)」が、メード・イン・九州のドレスを武器に徐々に支持を広げている。メイン商材のワンピースは、9割が熊本、長崎、福岡など九州の工場で縫製する。結婚式やパーティーなどのオケージョンシーンでも映える華やかなデザインで、刺しゅうやレースの美しいあしらいに繊細な手仕事が光る。昨年2〜7月には同フロアでポップアップストアを実施し、計画以上の売り上げを達成。人気ブランドひしめく同フロアで戦える手応えを得て、9月に常設店をオープンした。

 客層の中心は20代後半。ワンピースの中心価格は2万5000〜3万円前後と、フロアの競合ブランドと比較しても決して安くはない価格帯だ。オケージョンとデイリーに着回せる使い勝手のよさと、高い品質で心をつかんでいる。運営する侶丹(福岡市)の日永和孝代表は、「若いお客さまにとってうちのワンピースは決して安くない。それでも手にとって、着ていただくことで直感的に“いい”と思っていただけている」と話す。

 2023年春夏の人気商品が、レースのワンピースとインナーのセット(2万9700円)。インナーは柔らかく落ち感のあるジョーゼット素材。前開きのワンピースは羽織物としても使え、リボンを結べば結婚式やパーティーでも着られる端正なルックスになる。肌触りのいいチュールを使用したワンピース(2万6400円)は、ボリューム感を抑えたフレアーシルエットが大人っぽいエレガンスを演出する。程よい透け感と光沢のあるシフォン生地のフレンチスリーブのワンピース(2万9700円)は、落ち着いたカラーで甘すぎず、幅広いシーンで着用できる。

倒産の危機にシニア向けから大転換

 侶丹はシニア女性向けアパレルやちりめん小物の卸売を主業として1975年に創業。だが2000年代に市場の縮小で倒産の危機に陥り、当時の社長の息子だった日永代表は、会社を助けるべく入社を決める。とはいえ飲食出身で「アパレルど素人」だった日永代表。「そんな僕に、父親はいきなり『(売り上げで)2億円作ってくれ』と言った。とんだ無茶振りだった」と笑う。

 藁をもつかむ思いだった日永代表は、地元・天神のアパレルショップから出てくる若い女性にひたすら声をかけ、「今はどんな服が欲しいか」と聞き込みを続けた。最も多かった回答が、「オケージョンと日常使いが1着でかなうワンピース」。それから08年、社運をかけて立ち上げたのが「カエン」だった。ミセス向けから、若い女性向け衣料品への大転換。取引先はゼロからのスタートになった。「当時の社内は反発もあって、雰囲気は最悪。数字のプレッシャーで精神的にもギリギリだった」と振り返る。

 市場にはワンピースを得意とするブランドは数多ある。日永代表はそこに老舗ならではのリソースを掛け合わせ、差別化できないかと考えた。侶丹は熊本に操業30年以上の自社工場を持つ。それまでシニア向け衣料を縫ってきた職人たちに、若い女性向けのワンピースを縫わせてみた。蓄えた技術は、作る服が変わっても生きた。「これなら(市場で)戦える」。手応えを得た日永代表は、華やかなデザインの裏側にある確かな品質をアピールし、地道に販路開拓を開拓。大手セレクトショップやファッションビルなどへの卸売を徐々に増やしてきた。

「九州の職人のモノ作りを伝えたい」

 23年5月期はドレス需要の復活もあり、売上高は計画の4億円を上回るペースで進捗。昨年1月に福岡・今泉に路面店を出したのに続き、ルミネ新宿への出店でブランドの認知をさらに高めるとともに、直販を強化する。

 生産拠点は九州圏の10工場に広がった。日永代表は自社のデザイナーやパタンナーとともに定期的に工場へ足を運び、職人との対話を欠かさない。彼らの仕事ぶりを自分の目で見るにつれ、モノ作りの承継についても思いを強くしてきた。「まだまだ先の話にはなるが、いつかは海外進出できたら」と日永代表。「現状の商いの規模で、『日本のモノ作りを世界に伝える』とか大それたことは言えない。ただ『カエン』を作ってくれている九州の職人のモノ作りのすばらしさを、地道に、少しでも多くの女性に伝えていきたい」と前を向く。

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