【今週の花と器】シマフトイと〈ニッコー〉の《テーブルプランター デューン》|6月

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June 1, 2023 | Design | casabrutus.com

6月1週目の担当は、ギャラリーを併設した外苑前の花屋〈ボイス〉のオーナー香内斉さん。街路樹の緑が雨に濡れて、みずみずしく見えてくる梅雨。そんな季節に香内さんが選んだのは、日本の水辺に育つシマフトイ。直線的なフォルムが視覚的にもすっきりとして白と緑の縞模様が涼しげな水生植物を、かすかに波打つ純白の器に活けました。


梅雨のじめじめとした空気のなか、どんな植物を目にしたら嬉しいのか。白とグリーンが爽やかなシマフトイがぴったりだと思いました。フトイは柿本人麻呂が万葉集で詠み、古くから日本の風景をかたちづくってきた植物です。茎はつるりとして水っぽく、涼やか。暑さにも強い花材です。

今回は、シマフトイが水辺に自生した景色を思い浮かべて低い器を水面に見立てました。長めに揃えて、20本ほどの束を剣山で安定させています。器が白であること、直線的な茎が持っている鋭い雰囲気との相性を考えてシルバーではなく黒の剣山を選びました。本数は多いですが、シマフトイは一本一本が軽いので長くても倒れづらいです。

置き場所としては、和室の床の間に生け花として置いてもいいでしょうし、部屋の角や視線が行き止まる場所に置くと空間が引き締まると思います。今回は束にしましたが、シマフトイのフォルムは他の花と組み合わせても面白いですよ。すっと伸びるシマフトイが入るだけでアレンジがシャープな印象になります。小さな器に長さを残したまま一輪挿しにしてもいいと思います。

●今週の花:シマフトイ

つるりとした茎に白の模様が滲むシマフトイ。池や沼の浅瀬に群生する水生植物で、水底に根を張って茎を水面から突き出す。生育環境によっては2メートルにもなる。

●今週の器:〈ニッコー〉の《テーブルプランター デューン》

ゆるやかに波打つ幅広のフチが特徴のプランターは、純白のテーブルウェアを100年以上ものあいだ作り続けてきた〈ニッコー〉を代表するファインボーンチャイナ製。光に透ける艶やかな器は繊細だが、ボーンアッシュの含有量が高いため強度に優れ、実用性をフォロー。砂や土を盛るとフチの起伏に沿って土がなだらかに上下して、砂丘のような景観をつくる。〈ニッコー〉の《テーブルプランター デューン》φ28.5×D7.8×H6.4cm 14,300円(ニッコー TEL 0120 13 8625)

香内 斉|こうない ひとし

フローリスト。外苑前にあるギャラリー併設のフラワーショップ〈VOICE〉を2017年にオープン。家具や陶芸、絵画や写真などさまざまなジャンルの展示を行う。また、生産者と直接関わりながら、彼らの”声”とともに花を届ける。生け込みやウェディング、インテリアの展示空間に花をスタイリングするなど多岐に渡って活動している。

〈VOICE|ボイス〉

東京都渋谷区神宮前3-7-11 JINGUMAE HOUSE 1F。*最新の開店スケジュールや開催中の展示はインスタグラム@voice_flower.jpでチェック。