December 2, 2023 | Design, Culture | casabrutus.com
コペンハーゲンのデザインシーンを牽引するクリエイティブスタジオ〈FRAMA〉が南貴之率いる〈Graphpaper TOKYO〉でポップアップイベントを開催中。テーマは「Perception Form」。新作タオルの発表を機に、五感を刺激する家具とデザインオブジェのコレクションを展示・販売する。
〈FRAMA〉をご存知だろうか? 近年、ハンドクリームやボディクリームなど、彼らのアポセカリーを扱うセレクトショップが増えている。日本国内ではアポセカリーブランドというイメージが強いが、実は、家具やライフスタイルを彩るアイテムを多数生み出すデザインスタジオだ。
〈FRAMA〉クリエイティブティレクターのニルス・ストロイヤー・クリストファーセンを中心に、2011年に設立した。彼ら独自の美学に基づく「普遍性」をテーマに、シンプルで機能的なアートワークやクリエーションを次々と発表。木やガラスなどの自然素材、アルミニウムまで多様な素材を用いたユニークなプロダクトはコペンハーゲンのデザインシーンを牽引する存在感を放つ。
〈Graphpaper TOKYO〉は、ファッションから空間デザイン、キュレーションなど多様なジャンルのクリエイティブワークを行う、クリエイティブディレクターの南貴之によるコンセプチュアルなセレクトショップ。〈FRAMA〉は今年6月に参宮橋にオープンした同ストアに日本国内初のショップインショップとして販売スペースを設けている縁もあり、ニルスが出版した書籍『Perception Form』と〈FRAMA〉新作タオルの初お披露目を兼ねて、イベントを開催することとなった。
来日した〈FRAMA〉のニルスとフレデリック、南貴之の3名にインタビューを敢行。新作発表のコラボレーションの経緯やお互いの共通項について、話を聞いた。
── 今回のイベントで、伝えていきたいことは?
ニルス 〈FRAMA〉が持つ世界観を改めて一堂に集め、日本の人々に見てもらえるよい機会になればと思います。
新作のタオルもそうですが、普遍性の中にある、本質的な価値ーそれは空間で時間を過ごしたり、時には内省したり。そういった日常の中に存在する、ごくシンプルな時間をFRAMAの家具や製品とともに体感してもらえたらと思っています。
── 新作のタオルはどんなものですか?
ニルス 好みや用途で使い分けたい時に色や柄をセットで揃えられるものがない、というところから開発を始めました。日本のタオルのフワフワとした触感とヨーロッパのざっくりとした風合い、そのどちらも欲しく、2種類作ることで叶えました。キャビネットに収納したときの統一感も意識しています。
── コラボレーションの経緯を教えてください。
南 多分8年くらい前だったと思うんですが、お互いの共通の知人からコペンハーゲンのFRAMAがうちの青山のストアに来てくれて、すごくよかったって言っていた、というようなことを聞いて。それでFRAMAのことを知って、シンプルなプロダクトや精神性も近いところにいる人たちだなとずっと思っていたんですよね。ちょうど今年の6月に参宮橋にオープンした〈Graphpaper TOKYO〉のストアに入ってもらうブランドを探していた時に、彼らのことがふっと浮かんで。それで声をかけてみました。
ニルス いつも日本や海外へ訪問するとき、信頼できる知人や友人が紹介してくれたショップや美術館、食事もしに行くようにしていて。Graphpaperも知人がここは見ておいた方がいいよ、と教えてくれて。その時はいいグラフィックのTシャツを気に入って買ったかな。その時から、自分たちと近いものがある、感度の高いストアだと僕も感じていました。だからショップインショップの話をもらった時、すぐに決まりましたね。
── お互いの感覚がすっと合う、引き寄せあうものがあったんですね。
南 自分たちと同じように、ある意味インディペンデントなところでクリエイティブをしているからこそ、引き合うものはあったんだと思います。
ニルス この〈Graphpaper TOKYO〉の店内を見ていても、空間に対してコンテンポラリーな家具や服が2次的な要素として取り入れられている。自分たちも家具やプロダクトを作っていますが、それだけが主張するのではなく、あくまでその環境や空間に自然に、謙虚になじんでいることが重要だと感じていて。
そういった本質的な考えも近いのではないでしょうか。南さんのストアもそうですし、日本の建築や古いものからも同じようなことを感じることがよくあります。デンマークや北欧諸国と日本の文化やデザインが共鳴し合うのは、本質的な精神性が近いということもあるのかも知れません。
── FRAMA のお二人に伺います。普段、コペンハーゲンでのクリエイティブワークはどのように行っているのでしょうか?
ニルス オフィスの中をノマドのようにPCを持って移動しながら(笑)、みんなと対等にコミュニケーションをとっています。信頼があるし、方向性が近いメンバーが集まっているからかなり良い形でいろいろなことが進んでいると思う。
フレデリック 僕はもう長くNielsと仕事しているから、彼の考えていることや感性は大体理解していて。FRAMAにいるメンバーもみんな同じ感じで、大きく方向性がブレるようなことは起こらない。僕らはメンバー間で休みの日も互いの家を行き来したり、みんなでバーベーキューしたり、フラットな関係性で仲が良いんです。なので、みんな個々で独立しつつ自由でありながらも、大きな輪郭の中で方向性を共有している感じかな。
そんな環境から生まれたプロダクトは、どれもデザイン性は高いが不思議と力が抜けていて、無理がない。素材の特性を活かした、触れてみたくなるような質感も魅力的だ。
今回、彼らが生み出したモノたちと一緒に展示されるのが、書籍『Perception Form』。ニルスが世界中から見つけてきた魅力的な道具を集めた写真集だ。ページを繰ると、〈FRAMA〉のデザインの源が見えてくるようだ。
今最も注目のレーベルのひとつである〈FRAMA〉の世界観を存分に堪能できる貴重な機会、ぜひ足を運んでみては。