ピンタレスト はほかのプラットフォームとは違ってユーザーがすぐに離れない?

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記事のポイント

  • ピンタレストは、Z世代やミレニアル世代のユーザーにもターゲットを広げて成長を続けているが、そのペースはゆっくりであり、メタ(Meta)やTikTokなどと比べると小規模といえる。
  • ピンタレストの強みはユーザーが即座に離れない点にあり、ユーザーが情報を検索し、アイデアを見つけ、実際の生活で役立つ情報が得られる場として機能しているという。
  • ピンタレストはCPMが比較的低く、特にほかのプラットフォームよりも効率的であるとの主張があるが、一方でコンバージョン率においては低いという指摘も。

ピンタレスト(Pinterest)は、ユーザーを効果的にターゲティングし、マーケティングファネルのさまざまな段階で彼らをエンゲージできるプラットフォームであると、常に自己評価してきた。そしていま、マーケターにもこれと同じ評価を強く期待している。

今年の春以降にピンタレストの2023年のメインピッチデッキを読んだ人なら、それに気づいているだろう。それどころか、読んでいない人たち(そのなかの7人が米DIGIDAYの取材に応じてくれた)でさえ、そのメッセージが真実味を帯び始めていると述べている。ピンタレストはほかのどこよりも、ブランド広告のための場所として利用されてきた。

デジタルマーケティングエージェンシーであるニュー・エンゲン(New Engen)のパフォーマンスマーケティング担当バイスプレジデント、アダム・テリアン氏は、米DIGIDAYが入手した資料をレビューし、「多くのクライアントにとってプラットフォームに対する見方を裏付けるものである」と述べた。ここ数カ月間に関しては、同社のクライアントに占めるピンタレストのアクティブユーザーの割合は、およそ20~25%だという。

「いま取り組んでいるいくつかのキャンペーンで、ピンタレストを推奨している」と、テリアン氏は語る。「ピンタレストはドゥームスクロール(ネガティブな情報を見続ける行為)のための場所ではない。それが我々の論理的根拠だ。具体的な理由があるからこそ、ユーザーはそこへ行く。我々が計画しているキャンペーンは、クリエイティブなインスピレーションを得るためのものなのだ」。

ピンタレストのピッチデッキに書かれていること

今年の4月から多方面に広がりを見せてきたこのデッキは、ピンタレストの使命を高らかに宣言することから始まる。「愛する人生を築くためのインスピレーションを全ユーザーにもたらすこと」。そしてそこには、「ピンタレストはオンラインオアシスだ」と、9割のユーザーが語っていることが強調されている。

ベイシス・テクノロジーズ(Basis Technologies)のソーシャルメディア投資担当ディレクターであるジェニー・ルイス氏はこう語る。「ユーザーはピンタレストのコンテンツを本質的に信頼している。したがって、ほかのソーシャルプラットフォームと比べて、ピンタレストだけにプレゼンスを置くブランドの方が、そのメッセージを高く評価してもらえる」。同氏によると、ピンタレストに出稿している同社のクライアントのパーセンテージは、1桁前後だという。

※編注:プレゼン資料全文は原文記事より閲覧可能

課題は規模感

より多くのユーザーにリーチできるとマーケターが思っていれば、このパーセンテージはおそらくもっと大きくなるだろう。資料によると、今年第2四半期におけるピンタレストのグローバル月間アクティブユーザー数は、前年同四半期の4億3300万人から増加して、約4億6500万人だった。ちなみに、今年初めのインスタグラムの月間アクティブユーザー数は20億人を超えている。簡単にいうと、ピンタレストは成長しているが、そのペースはゆっくりだということだ。この資料とそれに続く広告ビジネスがより多くを生みだすには、これへの対処が必要になってくるだろう。

インサイダー・インテリジェンス(Insider Intelligence)でマーケティング、コマースおよびテックブリーフィング部門のシニアディレクターを務めるジェレミー・ゴールドマン氏は、これに重ねて意見を述べる。同氏によれば、ピンタレストのユーザー基盤は、2027年までは前年比で0.7~1%のペースで成長することが予測されているという。大いなる野望を声高に叫ぶピンタレストにとっては、これはなかなか厳しい現実だ。

「ピンタレストにビジョンはあるが、ユーザー基盤を大きくする能力は欠けている」と、同氏は語る。「購入を促す能力や、ROAS(広告費用対効果)やアトリビューションを追跡する能力があっても、ユーザー基盤が大きくならないなら、期待した成果は得られない」。

メタやTikTokからは大きな差

リーチするユーザーの幅をどこまで広げられるか? おそらくは、これがカギを握ることになるだろう。資料で指摘されているように、ほかの多くのアプリのここ最近の動向をよそに、ピンタレストはZ世代のオーディエンスのみをターゲットにしているわけではない。ピンタレストの内部データによると、ミレニアル世代のピナー(ピンタレストユーザー)は前年比で35%増加しているという。Z世代のピナーは前年比で50%、男性のピナーは24%、それぞれ増加している。

ゴールドマン氏は、「インサイダー・インテリジェンスの予測では、ピンタレストの広告売上は2025年に世界全体で39億5000万ドル(約5916億円)に到達する見通しだ」と言う。そのうちの27億ドル(約4044億円)は、米国内のみから生み出される見込みだ。こうした数字は前途有望に聞こえるが、メタ(Meta)やTikTokが豪語するとてつもなく大きな数字に比べるとわずかなものだ。メタは今年の第2四半期だけで320億ドル(約4兆7928億円)近くもの収益を上げているのだ。[続きを読む]

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