前2世紀中葉頃、ローマ帝国が誕生した。その社会構造は重層かつ複雑な格差社会だった。支配者はローマ市民であり、そのなかでもエリートである貴顕貴族は帝国社会全体の頂点に位置することになった。そして、貴顕貴族の成員が大きな部分を占めている元老院が、共和政の政治体制のもとでローマの国政を動かすこととなった。しかし、巨大なローマ帝国の権力の中枢となった元老院は、思いがけない難題に直面する。
前2世紀中葉頃、ローマ帝国が誕生した。その社会構造は重層かつ複雑な格差社会だった。支配者はローマ市民であり、そのなかでもエリートである貴顕貴族は帝国社会全体の頂点に位置することになった。そして、貴顕貴族の成員が大きな部分を占めている元老院が、共和政の政治体制のもとでローマの国政を動かすこととなった。しかし、巨大なローマ帝国の権力の中枢となった元老院は、思いがけない難題に直面する。