December 7, 2022 | Design | KASHIYUKA’s Shop of Japanese Arts and Crafts
日常を少し贅沢にするもの。日本の風土が感じられるもの。そんな手仕事を探して全国を巡り続ける、店主・かしゆか。今回出会ったのは東京の深川で作られている「江戸結桶」。樹齢300年越えのサワラ材を使った美しい手仕事です。
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丸い桶を枠に見立てて両側をガラスにした金魚鉢。昔、映画で見て、「なんて可愛いんだろう!」と、すぐに調べたのを覚えています。
「結桶の金魚鉢は、江戸時代の浮世絵にも描かれています。桶は実用のものですが、それを金魚鉢に見立てるところが、江戸っ子ならではの洒落とも言えます」
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そう語る結桶師の川又栄風さんは、江戸初期から木材の町として栄えた深川で130年続く〈桶栄〉の4代目。東京で唯一残る“江戸結桶”の作り手です。結桶とは、短冊状の板を丸形や小判形に繋ぎ、細いタガで結う(固定する)桶。板を丸く曲げるのではなく、カーブした鉈で丸太から“湾曲した板”を取り、側面を繋いで丸い形を作るのが特徴です。鎌倉時代に生まれた技法で、強度や密閉性が高く、大量の水や酒を運搬・保存するのにぴったり。室町時代には全国に広まりました。
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木のいい匂いが広がる工房の棚には、おひつやワインクーラー、湯桶がずらり。丸太のカットから組み立てまで、70以上の工程をすべて手作業で行っているそうです。
「材は樹齢300年ほどの木曽産天然サワラやヒノキです。特徴は年輪が緻密で軽く、水に強いこと。原木で仕入れ、雨や水を当てながら天日干しし、1〜5年ほどかけて木を落ち着かせてから割り・削りの工程にかかります」
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目を見張るのは、壁一面を埋め尽くす道具の数々です。鉋だけでも数十種類。工程が変わるたびに道具を替え、シャッ、シャッと乾いた音を鳴らして削ります。
「仕事は父から学びました。伝統的な道具を使いこなせないのは自分の技術不足だと思い続けていましたが、体格や筋力は人それぞれ。刃物の研ぎ方や体の使い方を微調整する必要があると気づきました」
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大切なのは“自分の体”に積み重ねること。最終的に目指す形はあっても、そこへ辿り着くまでのマニュアルはないし、体が違えばやるべきことも違うんですね。
板の繋ぎ目は、外から見えない部分に竹のパーツを入れて強度を出しています。あっさりした丸形だけれど、デザインの邪魔をしないように工夫を凝らした「日本ならではの丸」だと感じました。
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「形の目新しさだけを追い求めないように心がけています。丈夫で使いやすく、住空間に穏やかになじむ意匠を持つ品を作り続けたい」と川又さん。江戸の技を現代の日常にもたらす清々しい手仕事です。
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金魚鉢 作/桶栄
右/金魚鉢(台込み)W20×D17×H36.5cm 297,000円。左/ワインクーラーになるオーバルコンテナ W29×D21×H21cm 242,000円。●おけえい/東京都江東区。公式サイト
かしゆか
Perfumeのメンバー。ニューアルバム『PLASMA』発売中。5周年を迎える「Perfume Closet」第7弾コレクションが12月13日より発売スタート。同日より全国7都市をめぐるPOP-UP SHOPの開催もラフォーレ原宿からスタート。12月31日には15年連続15回目となる「第73回NHK紅白歌合戦」への出場が決定。高校時代、隅田川の花火大会で人の多さに衝撃を受けたのが下町の思い出。https://www.perfume-web.jp/