日々実行できる節税シリーズ① <決算賞与、給与の未払計上>

会社経営者であれば、節税に興味のない人はほとんどいないと思います。

ただ税理士に任せっきりで、節税のことを勉強していないという経営者も多いのではないでしょうか。

よい節税ができたと思ったら、会社の財務を傷つけていただけ…と、数年たってからわかるパターンもあります。

理想は、経営者が節税に詳しくて税理士と対等に話ができ、税理士と打合せして実行を決め、節税の実行は税理士に任せるという形です 。

経営者が節税について勉強しておくことは、無知によって会社を潰さないために非常に大事なことでしょう。

今回は、日々実行できる節税についてお話します。

節税のパターン

節税とは、無駄な税金を支払わないようにする対策をいいますが、節税には一定のパターンがあります。

2×2の4パターンに区別できますので確認しましょう。

・「税金が減る」or「先延ばしにするだけ」

・節税するのに「追加のお金がいる」or「いらない」

この節税の4パターンは、節税方法ごとに当てはめていきますので、ぜひ覚えておいてください。

決算賞与

まずご紹介するのは、決算賞与です。

決算賞与とは、決算時に会社の業績に応じて支払われる賞与のこと。
これは「税金が減る×節税するのに追加のお金がいる」のパターンの節税です。

従業員さんの頑張りに報いながら節税ができるのでおススメです。

決算賞与を今期の経費とする方法

決算賞与は、支給を決めた事業年度内で損金にするには一定の要件があり、全ての要件を満たす必要があります。

以下の3つの要件を全て満たしていたら、支給を決めた事業年度で損金になります。

  • 事業年度内に決算賞与の支給額を従業員ごとに、かつ、全ての従業員に通知していること
  • 通知をした事業年度の翌期が始まって1カ月以内に支払っていること
  • 通知をした事業年度で損金として経理処理していること

もし満たしていない場合は、実際に支払が完了した事業年度(翌期以降)で損金となります 。

今期中の節税対策として決算賞与を支給するのであれば、事業年度が終了するまでに決算予測を行って支給する金額を決定し、3つの要件を満たしておきましょう。

給与の未払計上

次に紹介するのは、テクニックのみで節税ができる典型例です。

従業員に支払う給与の締日が末日以外の場合には、締日から末日までの給与を損金として未払計上しましょう。

これは「税金を先延ばしにする×節税するのに追加のお金がいらない」のパターンの節税です。

地味ですが、テクニックだけでお金がかからない節税なので、漏らさずに実行したい節税方法といえます。

役員報酬は日割りという考え方がないため、従業員の給与のみが対象となりますのでご注意ください。

まとめ

日々実行できる節税はまだまだ沢山あります。

決算賞与のように投資が必要な節税だけでなく、給与の未払い計上のようなテクニックのみでできる節税もありますので、できる節税は漏らさず実行することが大事です。

節税はがむしゃらにやるのでなく、投資の費用対効果や中長期的財務戦略のバランスで実行していくことが大切。

一番重要なことは、経営者が節税について知っていて、税理士と対等に話ができることです。節税についての具体的な知識やノウハウ、その実践方法はこの連載で順次お話ししていきますね。