「黒字倒産」という言葉を、聞いたことがありますか?
黒字倒産とは、決算書上の利益が黒字なのに、倒産してしまうこと。
ではなぜ黒字、つまり利益が出ているのに倒産するのか。今回は「黒字倒産」について解説します。
会社はどうなった時に倒産してしまうのでしょうか?
それは、お金を約束の期限までに支払えなくなり、支払う見込みもなくなってしまったとき。
つまり、お金がなくなってしまったときに倒産してしまうのです。
いくら決算書が黒字で利益が出ていても、お金が支払えなくなれば潰れてしまいます。
ではなぜ決算書が黒字なのにお金がなくなるのでしょうか。単純な例で紹介します。
例えば、銀行からお金を借りて、そのお金で仕入をし、お金支払って、在庫を持っていたとします。
仕入れ価額が1個80万円のものを10個仕入れるために、銀行から800万円借り入れ。
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1個80万円で仕入、1個100万円で売る。
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1個しか売れなかった。
この時点では、1個分のみの売上と1個分の仕入が決算書上計上され、経費が0円だとすると20万円黒字です。
その後1つも売れずに借入金800万円の返済時期が来る。
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1個しか売れていないので、手元には100万円の現金しかない。
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返済できない。
多少は銀行が支払いを待ってくれたとしても、全く売れないことが続けば、支払う目途が立たず、会社が倒産します。
決算書は20万円の黒字なのに、お金が足りず返済できない…これが黒字倒産です。
これは簡単な例でしたが、売れたにも関わらず、その売上に対する売掛金の回収が出来なくなったり、在庫の値段が急落したり、コロナのようにいきなり世の中の状況が変わってお金が回らなくなったりなど、黒字倒産は複雑な状況がからみあって起こります。
過去には株式会社アーバンコーポレイションのように、上場企業ですら黒字倒産した例もあります。
では黒字倒産を回避するにはどうすればいいのでしょうか。
中小企業で黒字倒産が起こる主な原因は以下のようなもの。
- ずさんな資金繰り管理
- ずさんな戦略にもとづく先行投資
- ずさんな取引先与信 …など
これらのずさんさを回避するためには、投資計画や財務戦略がとても重要です。
適切に投資計画を立て、それに対する財務戦略が適切であれば、黒字倒産を起こすような事態を回避することができますし、有事の時でも資金調達できる力が会社にあれば、会社の倒産は回避できます。
今回は、黒字倒産について解説しました。ある調査では、倒産企業の半数前後が「黒字だった」という統計もあります。
黒字倒産をしないためにも、適切な投資計画や財務戦略を立て、計画を実行していく力が必要。そして有事の時でも資金調達できる能力も必要です。
これらに関しての具体的な知識やノウハウ、その実践方法はこの連載でまたお話ししていきます。