日々実行できる節税シリーズ② <出張手当>

経営者にとって、避けて通ることのできない節税対策。前回に引き続き、日々実行できる節税についてご紹介します。

今回は「出張手当」にスポットを当てていきましょう。

前回のおさらい

節税は、「税金が減る」or「先延ばしにするだけ」、節税するのに「追加のお金がいる」or「いらない」の2×2の4パターンに区別されます。

出張手当

節税の王道としても有名な「出張手当」。

ある程度出張のある会社の場合、出張旅費規程を作成したうえで「出張手当」を支給することで節税になります。

出張手当は経費になりつつ、支給を受けた側で所得税などの税金がかかりません。

先述のパターンに当てはめると「税金が減る」×「節税するのに追加のお金がいる」パターンの節税です。

出張手当は、交際費や交通費や宿泊費を含んで設定することもあれば、それらは実費精算する前提で含まずに設定することもあります。

どちらのパターンで出張旅費規程を作成してもOKですが、出張手当をいくら支払うかの金額設定には注意が必要です。

金額はいくらが妥当か?

出張手当の設定はいくらが妥当なのでしょうか。

税法には”いくらまで”と具体的な金額は書かれていません。

ただし、支給を受ける側(出張をする人)に所得税などがかからない手当なので、通常の出張で必要とされる金額の範囲内、そして世間の相場ともかけ離れていない金額で設定する必要があります。

また自社の役員報酬や給与とのバランスも考慮しなければなりません。

ネット等で検索すると相場が表示されますが、交際費や交通費や宿泊費を除いて3,000円程度~50,000円程度まで幅広く、「どれを参考にしていいのかわからない」という声も聞かれます。ネット上の相場は参考にする程度にし、トータルバランスで金額を設定してください。

出張旅費規程を作成する際の注意点

出張旅費規程を作成する際は、出張手当の対象は社長や役員だけでなく、必ず全社員を対象とすること。

ただし、役職に応じて金額を変更することは可能です。

とはいえ、社長だけ手当があまりにも高く、ほかの役員や従業員はあまりにも低いのも実質的に全社員を対象とした制度でないと評価され、否認されてしまう可能性も。全社員バランスよく規程を整備しましょう。

出張手当は、移動時間が長時間になることで発生する出張先での食事代など、普段なら負担しない支出を実費弁償するという性質をもっています 。

まとめ

今回は「出張手当」について解説しました。

そのほかにも日々実行できる節税はたくさんあります。投資が必要な節税、テクニックでできる節税などさまざま。できる節税は漏らさず実行することが大事です。

ただ節税はがむしゃらにやるのでなく、投資の費用対効果や中長期的財務戦略のバランスで実行していくことが大切。また経営者が節税について知っていて、税理士と対等に話ができることが大事です。

節税についての具体的な知識やノウハウ、その実践方法はこの連載で順次お話ししていきますのでお楽しみに。